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脳内ダダ漏れ帖

趣味とか萌えとか日記とかを無節操に書くブログ

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今週の生産品は創作BLのSS。
筆の赴くがまま勢いだけで書いた、下調べゼロの代物です。ツッコミどころ多いかも。
なお、受けは先週UPしたゴッちんと同じ子。「小川清」は彼のペンネームです。
とりあえず、他方にはUPせずこちらにだけ掲載しておきます。
内容は以下の通り。

ジャンル:創作BL
CP:幼馴染→作家、編集者→作家

とある作家を愛する二人の男の独白。
片想いの二人の互いへの嫉妬と不安。
攻め二人の一人称視点、幼馴染編と編集者編の二編で一本。
※受け自身の描写は特にないです。

本文は下記のつづきからどうぞ。

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『メンソールと両切り煙草』

 1.東城の場合
八畳一間のボロアパート。部屋の主は煙草を吸わないが、部屋には灰皿が常備されている。
それを使うのは、いつも決まった二人だけ。俺と、奴だ。
奴はゴッちんの担当編集者だとかで、十年来の付き合いらしい。
名前は、「瀬田」。もっとも、俺は奴の事を名前で呼ぶことはない。
だいたいコレだ、「両切り煙草の男」。

タールもニコチンも激重の、フィルターも何も無い葉っぱ剥き出しの馬鹿な代物をふかす大馬鹿野郎。
会ったこともないが、はっきり言って、好きじゃない。むしろ、嫌いといって差し支えない。
ゴッちんから聞く奴の話の断片から、微かに感じる奴の下心。それがべらぼうに腹が立つ。
ゴッちんは鈍いから、一切気付いてないらしいが、奴が仕事の関係以上のものを望んでいるのは明らかだ。

いつだったか、ゴッちんが眠りこけてた時、ふと目を覚ますと目の前に奴の顔があって、とてもビックリしたと言っていた。その時、ゴッちんが目を覚ました事に動揺してたらしく、きっとよからぬことをしていたのに違いない。
このままでは、誇張抜きに貞操まで危うい。ゴッちんには気を付けろと再三忠告しているのだが、馬鹿にするばかりで聞きやしないから困る。

ゴッちんは、馬鹿で、鈍感で、間が抜けてて、そのくせ眼鏡の下はやたら美人で。身形さえ整えて外に出れば、たぶん贔屓目でなく割とモテる。女はもとより、男にも。
いや、そこらの女より可愛くて性格も良いから、むしろ男の方にモテるかもしれない。
今まで誰の目にも触れなかったから、何にも無かっただけのことだ。もしも、ゴッちんを野に放したら、すぐに手癖の悪い男に食われちまうに違いない。

そんな事は俺が許さない。ゴッちんは俺が絶対に守る。
俺が守ってやらなけりゃ、誰がゴッちんを守れるってんだ。
奴にゴッちんは渡さない。こちとら中坊の頃から片想いしてんだ。
ずっとゴッちんだけしか見えなくて、それじゃ駄目だって女と付き合ってみたこともあるけど、それでもやっぱりゴッちんだけしか愛せなかった。ゴッちんの傍に居るときだけ、俺は、人を愛する気持ちを実感として理解できた。
ゴッちんは俺のことを、どうせ友達程度にしか思ってないんだろうが、それでも俺は構わない。
ゴッちんに想われたいなんて、そんな高望みは高校の頃に止めたんだ。

俺は、この想いに殉じる覚悟がある。
ゴッちんが心から愛し、ゴッちんを最も幸せに出来る人が現れたなら、俺はその時身を引こう。
それまでは、俺は友人として傍にいて、想いは胸に秘めたまま、ずっと守り続けよう。
俺には、そうすることしか出来ない。そうすることでしか、この想いを消化出来ない。
諦めちまえば楽なんだろうが、二十年来の片想いを綺麗さっぱり忘れるなんて出来やしない。

だから、俺は奴からゴッちんを守る。
奴は絶対に良くない。ゴッちんにとって奴は仕事上の関係でしかない筈なのに、奴はその一線を超えたがっている。
仕事の世話はおろか生活の世話まで過剰に焼いて、依存関係を築こうとするのがその証拠。
まさに害虫そのものだ。そんな奴にゴッちんを穢させるわけにはいかない。

だから、俺は煙草を吸う。
そもそも、この灰皿はゴッちんが俺のために用意してくれたものだ。奴のためじゃない。
俺のために用意された灰皿で、俺が煙草を吸う。
いつも必ず同じ銘柄、印象に残るメンソール。俺が愛飲する細身の恋人。
それは、奴には十分な牽制の効果を持っているはずだ。
望みながらも一線を越えかねている奴には、この牽制は絶対的な壁になる。
お前には必ず理解出来るだろう。

お前より近しい男が、ここにいる。

俺が吸い殻に託したその意図を。


 2.瀬田の場合
灰皿に今日も残されていた吸い殻は、いつもと同じすかした細身のメンソール。
毎回ではなかったが、頻繁に残されていて、奴がかなりの頻度でここに来ているらしいことと、長時間居座っているらしいことを察する事が出来た。
冷たい残り香が微かにして、それがいつも俺に躊躇と苛立ちを覚えさせる。

会ったこともない、「メンソールの男」。小川の親友で、名前は確か「東城」と言ったか。
俺はこの男が好きじゃない。小川は幼馴染みの大親友だと言って、全幅の信頼を寄せているようだが、果たして向こうはどう思っているのやら怪しいものだ。
聞く限りスキンシップ過剰な印象を受ける。どこの世界に、度々親友の肩を抱いたり、無意味に抱き締めたり、でこにキスする馬鹿がいる?それも二人きりの時にだけ。
もう決定的じゃねぇか!そいつ、絶対にホモだ。間違いない。

そして、俺は確実に敵視されている。
どうも小学生時代からの付き合いらしく、そっから今まで特に目立った行動には出てないことから、なかなかこじらせちまった野郎なのだろうと察しはつく。

正直なとこ、本当に勘弁してほしい。
確かに、俺が小川に特別な感情を抱いていることは否定しねぇさ。だが、俺はその一線だけは、けして越えちゃいけないものだと理解してる。
中学やそこらのガキじゃねぇんだ。自制心くらいちゃんと持ってる。
少なくともメンソールのお前よりは。

本当は俺だって、お前みたいに小川を抱き締めてやりたいさ。きつく抱き締めて、でこでも良いからキスをして、笑い飛ばされたって構わないから「愛してる」と伝えたい。
お前みたいに、小川に触れたい。だが、ただの「友達」のお前の手が触れた場所にさえ、俺の手はけして届かない。
冗談でだって出来ねえんだよ、俺には。お前の心配は全て杞憂なんだ。
だから、これ以上小川に近付くな。小川の事を想うなら、頼むから離れてやってくれ。
お前と小川の距離は近すぎる。それじゃ誰も近付けない。

何より、俺が耐えられない。

小川の傍にお前の影が色濃く残るほど、俺の心は掻き乱される。お前が俺を意識するあまり、いったいどんな行動に出るか、考えるだけで不安になる。
今は俺も、たぶんお前も、小川をどうこうしようだなんて、微塵も思ってないだろう。
だが、お前はきっと捕らわれる筈だ。俺に小川を奪われる、いや、俺に小川を穢される悪夢のような妄想に。
その不安が臨界点に達した時、お前はいったいどうする?

そんな事は、決まってる。
先んずれば吉、そう考える。
俺に穢されるくらいなら、いっそ自ら。

その選択に至る事が怖い。
俺だって小川が欲しい。でも、小川を奪いたいとは思わない。
小川をただ見守っていられるだけで幸せ。

だがそれは、略奪者が居ない状況でしか成立し得ない話だ。略奪者が傍にいて、ただ見ているだけの状況は、不安、ただ不安。
いつ奴が忠実な番犬から横暴な略奪者に変化するか、まるで時限爆弾だ。
そんな考えが、俺の心を捕らえて放さない。
そして、その考えに捕らわれれば捕らわれる程、俺がその略奪者に転じてしまえば、と思わずにはいられないのだ。

お前の不安を俺がなぞる。
お前に傷付けられるより先に、無垢な小川をこの手に触れたい。
ひどく身勝手な悪魔の誘惑。
しかし、そんな事はやはり出来よう筈もない。

俺は、小川を愛しているからだ。
小川という男より、「小川清」という作家を愛しているからだ。だから、俺はこの関係を一寸たりとも逸脱することなど出来ない。
手なんてはなから出せやしないし、きっと小川個人を愛しているのはきっとお前。

俺は小川を見守るだけ。
だが、もし、お前が、嫉妬と不安に抗えず、小川を害そうとしたならば。あるいは、欲望に抗えず、己の分を忘れて想いを伝えようとしたならば。
俺はお前を排除することを躊躇しない。小川を変えてしまうような行為を、小川を壊してしまうような行為を、俺は許す訳にはいかないからだ。
俺は小川を守る。
作家「小川清」を守る。

だから、今日も俺は煙草を吸う。奴の牽制に牽制で返す。
残す吸い殻はいつも同じ銘柄。少し珍しい両切り煙草。
お前ならちゃんと意味が分かるだろ?

俺は、一歩も引く気はねぇ。

吸い殻にメッセージを託すお前へ、これが俺からの答えだ。

 【終】
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プロフィール

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ヤサブロー
性別:
女性
自己紹介:
無双・BSR至上主義のガチ腐。
無双は三國寄りで好き。
けして、歴女ではない。

一応、同人小説サイト持ち。
ほぼ倉庫化してるけど気にしない。
pixivでは別HNで活動中。

全般的に癖のあるキャラを好きになりがち。

↓↓好き↓↓
司馬懿/陳宮殿/郭淮さん/鍾会さん(無双)
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松下/埋れ木/二世(悪魔くん)
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